ワンクリック詐欺は無視して平気?4つの法的根拠から対処法を導く

驚く猫トラブル
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パソコンやスマホでネット副業情報やアダルト系サイトなどを見ていると、突然登録料や会員費を請求する画面が出てくることがあります。

このようなウェブサイトはワンクリック詐欺(ワンクリック請求)と呼ばれ、一般的に「無視しても問題ない」と言われています。

しかしそれでも、「本当に無視していいの……?」と、不安を覚える人もいるでしょう。

そんな方のために、この記事ではワンクリック詐欺はなぜ無視していいのかという根拠と、もしワンクリック詐欺の相手に連絡したりお金を払ったりしてしまったらどうすればいいのかを解説します。

なぜワンクリック詐欺は無視してもいいのか。4つの法的根拠

ワンクリック詐欺を無視してよい根拠には、大まかに以下のものがあります。

  • ①そもそも契約が成立していないから
  • ②違法なやり方での契約だから
  • ③申し込み前に有料であることの再確認をしていないから
  • ④契約を取り消すかどうかの確認画面がないから

順番に説明していきましょう。

①そもそも契約が成立していないから

ワンクリック詐欺では、ウェブサイトで「18歳以上」などと書かれたリンクボタンをクリックしたり、動画の再生ボタンをクリックしたりすると、突然料金の請求画面が現れます。

「会員登録完了。以下の金額を振り込んでください。」などと書かれた請求画面が出てくると、いかにもサービスの利用契約が結ばれたかのようにみえますが、そもそもこの時点では何の契約も成立していません。

契約が成立するためには、

  • 契約を申し込む側の意思表示
  • 契約を承諾する側の意思表示
  • 両者の意思表示の合致

が必要です。

意思表示とは、法律用語では「ある効果を期待して、こういうことをしたい」という自分の意思を、はっきりと外に示すことを指します。

たとえばワンクリック詐欺で、単に「18歳以上」などのリンクをクリックしただけの場合は、そもそも「有料の会員登録をする」という意思表示をしていると認められません。

そのためそもそも契約が成立しておらず、お金を払う必要がないのです。

②違法なやり方での契約だから

では、うっかり「会員登録をする」というボタンを押して高額な請求が来たときはどうなのでしょうか?

「登録をする」という意思表示をしたとみなされてしまうのでしょうか?

実はこの場合も、すぐ心配する必要はありません。

ワンクリック詐欺サイトの場合、請求画面に飛ぶ前の画面に、有料サービスであることが表示されていない、または極端にわかりにくく表示されているケースがほとんどです。

そのような場合、利用者は正しい契約内容を把握せずに会員登録を申し込んでいるため「錯誤による契約」として無効を主張することができます。

「錯誤」とは、意思表示の内容と、実際に思っていたことが違うということです。

たとえば、有料のサービスとは知らずに会員登録した場合、あなたは有料の会員登録をするということを知らなかったのですから、錯誤により無効だと主張できます。

また有料であるにもかかわらず、料金などが分かりやすく表示されていないウェブサイトは、最初から相手をだますつもりで作ったと考えられます。

だまされて契約を結んだ場合は詐欺による契約ということになりますので、詐欺による契約無効を主張することも可能です。

錯誤・詐欺のどちらにせよ、ワンクリック詐欺サイトの契約は無効であると主張できますので、お金を払う必要はありません。

③申し込み前に有料であることの確認をしていないから

「購入する」「会員登録する」などと書かれたボタンをクリックする前に、そのボタンをクリックすることが有料の契約申込になることをきちんと表示していない場合、契約は無効となります。

これは特定商取引法という法律で、インターネット通販や有料のウェブサービスなどを提供する業者には、サービスを提供する側に料金などのサービス内容を表示する義務(広告表示義務)があるとされているからです。

また料金を表示していたとしても、ボタンをクリックすると有料の申し込みになることがわかりやすく表示されている必要があります。

たとえば、契約完了のボタンには「登録」「送信」といったあいまいな表記ではなく「購入」という言葉を使う必要があります。

ワンクリック詐欺サイトがこうした広告表示義務を満たしていることはほとんどありませんので、契約は無効になります。

④契約を取り消すかどうかの確認画面がないから

インターネット上で消費者に有料の商品やサービスを販売する際には、申込内容を表示して、契約するのかどうかの最終確認する画面を表示しなければならないと定められています。

これは電子消費者契約法という法律によるもので、このルールに従わずに結ばれた契約も無効となります。

もしクリック1回で契約が結ばれてしまうと、操作ミスによって望まない契約をしてしまう消費者が続出してしまいます。

そのような事態を防ぐために、きちんと消費者に最終確認して契約を取り消す機会を与えなければならない、というルールがあるのです。

ワンクリック詐欺サイトではそのような確認画面は表示されませんので、契約は無効となります。

こんな請求&言葉があったけど大丈夫?

ワンクリック詐欺業者の手口は多様化しているため、請求内容にもさまざまなバリエーションがあります。

具体的な事例を挙げながら、本当に無視すれば大丈夫なのか、対処法を解説します。

①「支払いがない場合、延滞料金○○円を取る」と表示されているけど大丈夫?

ワンクリック詐欺サイトでは延滞料金を表示することによって、慌てて支払わせようとしてくることがあります。

しかし、そもそも契約が成立していないので、延滞料も無効です。

また仮に契約が成立していても、利率が年14.6パーセントを超える延滞料は無効となります。

消費者契約法により延滞料の上限が決められていて、それを超える条件を表示していても法律のほうが優先されるからです。

また「退会・解約する場合はキャンセル料○○円がかかります」などと表示しているケースもありますが、退会・解約についてこうした一方的な制限をしている場合も、消費者契約法により契約が無効になる可能性が高いです。

②子どもが有料サイトの申込ボタンをクリックしてしまった!払う必要がある?

ワンクリック詐欺サイトであれば、契約がそもそも成立していません。

こちらから連絡すると、個人情報を聞き出されたり料金を請求されたりする可能性が高いので、無視しましょう。

また未成年者による契約申込は、後から取り消すことができます。

もしワンクリック詐欺ではなかったとしても、未成年の子どもが勝手に有料サイトの申込ボタンをクリックしてしまった場合は取り消すことが可能です。

ただし相手がワンクリック詐欺業者の場合は、未成年者なので取り消したいという連絡をすること自体が危険です。

ワンクリック詐欺かどうかの判断が難しいときは、消費生活センターなどの窓口に相談しましょう。

③請求画面が消えなくなってしまった!どうすればいい?

ワンクリック詐欺のページを閉じても、請求画面がくり返し表示され続けることがあります。

そのような場合の対処法を紹介します。

パソコンの場合

パソコンを再起動しても請求画面が勝手に表示され続ける場合は、ウィルスに感染してしまった可能性が高いです。
ウィルス対策ソフトを実行することで解決することもありますが、治らない場合はシステムの復元をおこないましょう。

スマホの場合

スマホの場合は、ウェブブラウザ上で閲覧していたページが記憶されているだけなので、請求画面のタブを消してしまえば次からは表示されなくなります。

④登録完了画面に自分のIPアドレスが表示されている!住所などもバレてしまった?

ワンクリック詐欺の請求画面に、個人情報のような扱いで

  • IPアドレス
  • 使用しているブラウザ
  • 契約しているプロバイダ
  • ウェブサイトの登録ID

などが表示されることがあります。

しかしこれらのデータは、ウェブサイトにアクセスするときに自動的に送信される情報であり、アクセスした人の住所や電話番号などの個人情報と直接結びつくものではありません。

IPアドレスをプロバイダに問い合わせ、利用者の住所や氏名を聞く「発信者情報開示請求」という制度もありますが、この制度を利用するには、ネット上で誹謗中傷された場合など、正当な理由が必要です。

ワンクリック詐欺業者がIPアドレスからあなたの個人情報を調べることはできませんので、安心してください。

⑤電話番号を教えてしまい、毎日請求の電話がかかってくるときはどうすればいい?

ワンクリック詐欺業者からしつこく請求の電話がかかってくる場合は、警察や消費生活センターに相談しましょう。

まとめ

  1. ワンクリック詐欺では、そもそも契約が成立していないので料金の支払いも不要。
  2. 錯誤や詐欺による契約無効も主張できる。
  3. ネット上では、事前の料金表示や確認画面のない契約は無効。
  4. 住所などを知られてしまっても、裁判を起こされることはほぼない。
  5. もしお金を払ってしまったら、都道府県警サイバー犯罪窓口などの公的機関に相談。
  6. トラブル解決をうたう悪質業者には要注意。

ワンクリック詐欺を無視しても大丈夫な理由や、被害にあったときの対処法について紹介しました。

有料サービスの契約はそう簡単には成立しませんので、ワンクリック詐欺業者にお金を払ったり連絡したりする必要はありません。

どうしても不安な場合や、被害にあってしまった場合は消費生活センターや都道府県警サイバー犯罪窓口などの公的な窓口に相談しましょう。

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